Message-座長からみなさまへ-不定期更新 Vol.7
- 西田
- 2015年4月23日
- 読了時間: 3分
役作りについて
久しぶりの座長Message、ゴールデンウイークの第四回公演の宣伝かと思わせておいて書く事はいつもと変わらずというのがいいですね。
今回は役作りについて少しお話をしようと思います。
皆様は役作りにどのようなイメージをお持ちでしょうか?
よく女優の方がテレビ等で、役作りの為にこんな苦労をしましたと言った趣旨の話しを見たことがあると思います。
作品の舞台や役を知る為、実際に取材へ入ったり、体験したり、自分の演じる役はどんな人間だったのか、育ってきた環境は?周りの人達はどうだったのか?何が好きで何が嫌いなのか?脚本から読み取れる情報を元に想像、妄想で補強し役を作り込んでいく。
いわゆるキャラクターシートと言ったものを作成したり、中には役に入り込み過ぎて普段からその役のまま生活している方までいるようですね。
純粋にそこまで出来るのは凄いなと思うのですが、私は学生の皆にこういう教え方をした事は一度もありません。
キャラクターシートは役への導入部分としては、役に入りにくい人にとって良いのかもなと考える事もあるのですが、私見ではありますが、それを活用している役者さんにガッチガチな人が多いと感じていて
例えば
「先程のセリフで自分の事を私と言っていたのに、この場面では俺と言っているのは変じゃないでしょうか?」や「こんなに真面目そうな役なのに、ふざけるのはおかしいと思います」
など、自分の中で役が固まり過ぎて崩しが全く効かなくなっている状態の人が多いからです。
普段から役のまま生活してしまうなんて話を聞いたらちょっと怖いですよね。
誰にだって色んな顔があって、それは家族の前で、恋人の前で、友人の、後輩の、取引先の、色んな関係性の前で、全て同じなわけがないのです。
私が見ていて魅力を感じる役者さんは、たった3行のセリフでも、表情を変えニュアンスを変えセリフを吐ける役者です。
もちろんバランスは必要ですが、こういう芝居が出来る人に共通するのは、常に観客の事を考えているということです。
見ている人が飽きないような芝居を心掛けている役者さんというのは、自分が今どのように見られているのかも理解出来ているので、当然ながら観客側からしても魅力的に感じられるわけです。
故に、役者作りにおいて役を固め過ぎるのはあまり好ましい練習法ではないという結論に至りました。
作品を読み込む事はとても大切です。
しかしそこからさらにその役をガチガチに固めるのではなく、崩して、色んなニュアンスを取り入れて行く事で、より演技が面白くなると考えます。
バランス感覚の良い役者さんは、すべからくそんな演技をやっているものなのです。
今年も演劇部には新一年生達が入って来ております、私との稽古の中で自分の魅力をどんどん見つけて行って欲しいですね。
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